相続登記の費用はいくら?司法書士報酬の相場と内訳を解説
「相続登記って、いくらかかるんですか?」
最近、相続登記のお問合せが増えてきましたので、まずは特に気になる費用について、今回は解説したいと思います。
2024年4月に相続登記が義務化されてから、来年(令和9年)の3月末で満3年が経ちます。
義務化以前に発生した相続については、来年の3月末までが法律で定められた手続きの期限になるため、動き出す方が多いのではないかと思います。また、相続登記という手続きをしないといけないらしいということが、だいぶ世の中に浸透してきたということも感じております。
さて、本題に戻ります。ざっくりお伝えすると、司法書士にお願いする場合の報酬は数万円〜十数万円くらいが一つの目安です。
ただ、正直に言うと、この幅にはちゃんと理由があります。
この記事では、費用の内訳と、金額が変わるポイントをできるだけわかりやすくお話ししますね。
相続登記の費用は「3つ」に分かれます
まず全体像からです。
相続登記にかかるお金は、大きく分けると次の3つになります。
- 登録免許税(登記のときに国へ納める税金)
- 実費(戸籍や証明書を取り寄せる費用)
- 司法書士報酬(手続きを代わりに行う費用)
このうち、事務所によって違いが出るのは司法書士報酬だけです。
登録免許税と実費は、どこに頼んでも基本的に同じなんですね。
ご自身で手続きをされる場合は、報酬がかからない代わりに、書類集めや申請書作りをすべてご自分で行うことになります。
登録免許税は「評価額×0.4%」で計算します
登録免許税は、不動産の固定資産税評価額に0.4%をかけて計算します。
たとえば、土地と建物の評価額が合わせて2,000万円なら、
2,000万円×0.4%=8万円です。
評価額は、毎年春ごろに届く固定資産税の納税通知書(課税明細書)で確認できます。
お手元にあれば、一度見てみてください。
なお、評価額が低い土地などには、登録免許税がかからない特例(免税措置)もあります。
使えるかどうかは条件があるので、ご相談の際に確認しますね。
実費は「戸籍の枚数」で変わります
相続登記では、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの戸籍を、すべてそろえる必要があります。
手数料の目安は、戸籍謄本が1通450円、古い戸籍(除籍謄本・改製原戸籍)が1通750円です。
ほかにも、住民票や登記事項証明書などの取得費がかかります。
転籍や結婚などで本籍地が何度も変わっている方ほど、戸籍の枚数は増えていきます。
司法書士報酬の相場は「数万円〜十数万円」
さて、いちばん気になる司法書士報酬のお話です。
実は、司法書士の報酬には全国一律の決まりがありません。
2003年に報酬の基準がなくなり、それぞれの事務所が自由に決めているんです。
そのため「相場」といっても幅があります。
相続人が少なく、不動産が1か所で、書類もそろっている。
そんなシンプルなケースなら、数万円台に収まることが多いです。
一方で、作業の工程が増えるほど、十数万円、場合によってはそれ以上になることもあります。
報酬には、主に次のような作業が含まれます。
- 戸籍などの必要書類の収集
- 相続関係説明図(家系図のような一覧)の作成
- 遺産分割協議書(相続人全員の話し合いの結果をまとめた書面)の作成
- 登記申請書の作成と法務局への申請
- 登記完了後の書類のお渡し
次の2つのセクションで、金額が大きく変わりやすいポイントを見ていきましょう。
費用が変わるポイント①相続人の数と戸籍の範囲
まず影響が大きいのが、相続人の数です。
お子さんが相続人なら、亡くなった方の戸籍を中心に集めれば済むことが多いです。
でも、お子さんがいなくて兄弟姉妹が相続人になる場合は、ご両親の戸籍までさかのぼる必要があります。
兄弟姉妹の中にすでに亡くなった方がいれば、その方のお子さん(甥・姪)まで調べることに。
もう一つ、よくあるのが「数次相続(すうじそうぞく)」です。
たとえば、おじいさま名義の土地を放置している間に、お父さまも亡くなってしまったケース。
この場合、2回分の相続をさかのぼって整理しなければなりません。
代を重ねるほど相続人は枝分かれして、10人以上になることも珍しくありません。
戸籍の量も、確認の手間も、ぐっと増えていきます。
費用が変わるポイント②遺言・遺産分割協議書の有無
次に大きいのが、遺言書があるかどうかです。
公正証書遺言があれば、その内容にそって手続きを進められるので、比較的シンプルです。
自筆の遺言書の場合は、原則として家庭裁判所での「検認(けんにん)」という手続きが先に必要になります。
(法務局で保管されていた遺言書なら、検認は不要です)
遺言書がない場合は、相続人全員で話し合って、誰が不動産を受け継ぐかを決めます。
その結果をまとめるのが、遺産分割協議書です。
協議書には、相続人全員の署名と実印、印鑑証明書が必要です。
相続人が多い、遠方に住んでいる方がいる。
そんなときは、書類のやりとりや取りまとめに時間と手間がかかり、その分が費用に反映されることがあります。
「うちはいくら?」は、お話を聞いてから見えてきます
ここまで読んでいただくと、なんとなく感じていただけたかもしれません。
同じ「相続登記」でも、中身は一件ずつまったく違うんです。
だからこそ、正確な金額は、状況をうかがってからでないとお伝えできません。
逆に言えば、少しお話を聞かせていただくだけで、おおよその見通しはお伝えできます。
お見積もりの際に教えていただきたいのは、たとえば次のようなことです。
- 亡くなった方と、相続人になる方の関係
- 不動産の所在地と数
- 遺言書があるかどうか
- お手元にある書類(納税通知書・権利証など)
「全部はわからない」という状態でも、ご安心ください。
わかる範囲で大丈夫です。一緒に整理していきましょう。
相続登記の費用、「うちの場合はどれくらいだろう?」と気になっていませんか?
義務化もあって、早めに見通しを立てておくと気持ちもぐっと楽になります。
お問い合わせフォーム、またはメールから、どうぞお気軽にご連絡ください。
ご家族の状況をうかがったうえで、費用の目安と進め方をわかりやすくご案内します。
宜しくお願いいたします。
※ 法律の正確な詳細
- 相続登記の申請義務化は2024年4月1日施行です(不動産登記法第76条の2)。相続により不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象となります(同法第164条第1項)。施行日前に発生した相続も対象で、この場合は2027年3月31日までが期限となります。
- 相続による所有権移転登記の登録免許税は、不動産の価額(固定資産税評価額)の1000分の4です(登録免許税法別表第一第1号(2)イ)。
- 一定の土地については登録免許税の免税措置があります(租税特別措置法第84条の2の3)。適用期限・要件が定められているため、最新の内容はご相談時にご確認ください。
- 自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です(民法第1004条)。ただし、法務局の遺言書保管制度を利用した遺言書は検認不要です(法務局における遺言書の保管等に関する法律第11条)。
- 戸籍の交付手数料は、戸籍謄本450円、除籍謄本・改製原戸籍謄本750円です(地方公共団体の手数料の標準に関する政令)。


