ブログ

もしもの時の医療、どう希望を伝えますか?

尊厳死宣言とは?公正証書で残す意味と手続きを行政書士が解説|明日香司法書士・行政書士事務所

もしもの時の医療、どう希望を伝えますか?

「もし自分が意識を失って、回復の見込みがない状態になったとき、無理な延命治療はしてほしくない」——皆様は、そのようにお考えになったことはありませんか?

終活のご相談でお越しになる方から、こんなお話をよく伺います。「自分の意思は固まっているけれど、家族に話すと『縁起でもない』と避けられてしまって…」「大切な家族に、私の命の選択という重い決断をさせたくない」

また、「万が一のために遺言書は書いたけれど、自分が生きている間の医療や介護については、どうやって希望を残せばいいの?」といった疑問をお持ちの方も少なくありません。

自分の最期の医療について、家族の負担を減らしつつ、自分の希望を確実に叶えたい。……こういう場合って、一体どうしたら良いのでしょうか?

実は、このようなお悩みを解決する有効な方法があります。

それが、「尊厳死宣言(リビング・ウィル)」を「公正証書」という形で残しておくことです。

どうしてこれが解決策になるのか、司法書士の視点から3つのポイントに分けて解説します。


解決策のポイント①:自分の最期を自分で選ぶ「尊厳死宣言」

尊厳死宣言とは、将来、回復の見込みのない終末期状態になったときに、延命治療を望まないことをあらかじめ意思表示しておく文書のことです。「リビング・ウィル」とも呼ばれます。

具体的には、以下のような内容を盛り込みます。

  • 回復の見込みがない場合に延命治療(人工呼吸器・胃ろう・心肺蘇生術など)を望まないこと
  • 痛みや苦しみを和らげる緩和ケアはしっかり受けたいこと
  • この意思表示が、誰に強制されたわけでもない「自分の自由な意思」であること

押しつけがましくなく、でも確かなあなたの意思として残しておくための手段です。


解決策のポイント②:「遺言書」ではカバーできない期間を守る

「遺言書を書いておけば大丈夫ではないの?」と思われるかもしれません。しかし、終活においてこれらはまったく別の役割を持っています。

遺言書は、亡くなった後の財産の分け方などを定める文書で、効力が生まれるのは「亡くなった後」です。一方、尊厳死宣言は「生きている間(意識はなくても心臓は動いている終末期)」のための文書です。

遺言書が「死後の意思」を担うとすれば、尊厳死宣言は「死ぬ直前の医療の意思」を担うもの。遺言書だけでは解決できない期間をカバーしてくれます。


解決策のポイント③:現場で効力を発揮する「公正証書」

一番重要なのがここです。尊厳死宣言は、自筆の手紙やメモでも作ることができます。しかし、それでは実際の医療現場で動いてもらいにくいのが現実です。なぜなら、医師の立場からは「本当に本人が書いたものか」「書いた時に十分な判断能力があったのか」を確認するのが難しいからです。

だからこそ、法律の専門家が関与する「公正証書」で作成することが、確実な解決策となります。

  • 公証人が直接、本人確認と意思確認を行います。
  • 作成日時が明確に記録され、原本が公証役場に保管されるため書き換えの心配がありません。

公正証書にしておくことで、病院に提出したときに医師や看護師が「これは正式に作られた文書だ」と安心して判断できるようになり、あなたの希望が実現しやすくなるのです。

「延命治療についての希望を、どう扱っていいかわからない」と悩まれていた方にとって、尊厳死宣言公正証書は非常に心強いお守りになります。「自分の場合はどうなるの?」「手続きが難しそう」と思われた方は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。あなたの想いを確かな形にするお手伝いをします。


法的な効力については、正直にお伝えします

ここは、少し慎重にお話ししなければなりません。

現在の日本には、尊厳死(延命治療の中止)を明確に認める法律はまだありません。医師が患者の意思に従って延命治療を中止することがどこまで認められるかについては、医療界・法曹界でも議論が続いているのが実情です。

ただ、厚生労働省のガイドライン(「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」)では、本人の意思を尊重することが基本とされています。公正証書によって作成された尊厳死宣言は、その意思を示す有力な資料として機能します。

「これさえあれば完璧」とは言い切れませんが、「何も残さないよりずっと意味がある」というのは確かです。担当の医師や病院と事前に話し合っておくことも、あわせて大切にしてください。


こんな方によくご相談いただきます

尊厳死宣言は、特別な方だけが作るものではありません。ご家族と延命治療について話したことがある方、老後の在り方を真剣に考え始めた方なら、どなたでも検討していただけるものです。

実際によくいただくご相談のパターンをご紹介します。

  • 「家族には『延命はしないでほしい』と伝えたいけど、きっかけがなくて…」という方
  • 「親が高齢で、本人の意向を確認しておきたい」とお子さんが親御さんと一緒に来られるケース
  • 任意後見・遺言の準備を進めていて、「医療の場面もあわせて整えておきたい」という方

「まだ元気なうちから準備するのは早すぎるかな」と感じる方もいらっしゃいます。でも、尊厳死宣言は、判断能力がしっかりある元気なうちにしか作れません。「作りたいと思ったときに作れる状態であること」が、唯一の条件といっても過言ではありません。


自分の最期をどう迎えたいか——その思いを、きちんと形にしておくこと。それが尊厳死宣言の本質だと思います。

「どんな内容を盛り込めばいいかわからない」「任意後見と一緒に準備したい」「まず話だけ聞いてみたい」、どんなことでもお気軽にご連絡ください。

明日香司法書士・行政書士事務所では、尊厳死宣言公正証書の文案作成から公証役場へのご同行まで、おひとりおひとりのご状況にあわせてご一緒に進めております。

メール:info@as-legal.net

宜しくお願いいたします。


※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。延命治療の中止に関する判断は、担当の医療機関・医師との十分な対話のうえで行ってください。法律や医療ガイドラインは改正・改定されることがあります。最新情報については専門家にご確認ください。

\ 最新情報をチェック /

関連記事

  1. 終活で司法書士に頼めること5選|遺言・後見・相続まで完全ガイド

PAGE TOP
PAGE TOP